守り続けて100年/直近10年の離職率は、ほぼゼロの須藤工務店。 元大手ゼネコン出身の4代目が語る、「当たり前の日常」を支える誇りと、社員への覚悟ー代表インタビューVer.1

-人々の「当たり前の日常」を支える誇り

千葉県四街道市。

ここに、創業から100年以上の歴史を持ち、JR東日本の鉄道工事という「社会の血管」を支え続ける、株式会社須藤工務店です。


須藤工務店の注目すべき点は、その圧倒的な「定着率」にある。

直近10年間で、入社後に退職した社員はわずか1名。「人間関係で辞める人がいない」という事実は、人材の流動が激しいこの業界において奇跡に近い。


なぜ、人はこの会社に居続けるのか。

そしてなぜ、未経験者に対して「月給30万円スタート・住宅手当3万円」という、業界相場を大きく上回る破格の待遇を用意するのか。


その答えを探るため、今回は代表取締役の須藤雅彦氏にインタビューを致しました。

大手ゼネコンでのキャリアを経て家業を継いだ4代目が語ったのは、派手な英雄譚ではない。不器用なまでに社員を想う「覚悟」と、誰も気づかない場所で日常を守り抜く、静かなる「誇り」の物語だった。


【目次】

-【キャリアと変革】 大手ゼネコンから家業へ。「雨が降れば休み」の旧習を変え、社員が長く働ける“会社”にしたかった。

-【驚異の定着率】 「俺の言う通りにやれ」は言わない。直近10年で離職者がほぼゼロになった、トップダウン否定の経営哲学。

-【仕事の流儀】 私たちが守っているのは、線路ではなく「日常」だ。震災復旧で再確認した、インフラ屋としてのプライド。

-【待遇の理由】 未経験でも「月給30万円」は、あなたの未来への投資。生活の不安を消し、努力に報いるための決断。

-【求める人物像】 不器用でもいい、スキルは後からついてくる。私たちが唯一求めているのは、たった一つの「誠実さ」。


■大手ゼネコンから家業へ。「雨が降れば休み」の旧習を変え、社員が長く働ける“会社”にしたかった。

── 須藤代表は、最初から家業に入られたわけではないと伺いました。前職では、あの大手ゼネコンにいらっしゃったそうですね。

須藤: ええ、大学卒業後に新卒で入社し、約7年3ヶ月ほどお世話になりました。

実は私、大学は土木工学系ではなく、経済学部の出身なんです。学生時代はずっとスポーツに打ち込んでいましてね。ただ、4代目として生まれた以上、心のどこかで「いつかは家に戻らなければならない」という意識は常にありました。


「技術的な勉強をしていない自分が、どうすれば家業の役に立てるか」 そう考えた時、選んだのが大手ゼネコンでの「マネジメント」という道でした。

技術職ではなく、営業や現場の事務、会計といった管理部門に身を置くことで、組織の動かし方やお金の流れを学ぼうと思ったんです。


扱う物件の規模は違えど、会社を運営する仕組みや、人を守るための管理体制など、持ち帰れるものは必ずあるはずだと。そうした「経営の視点」を養うための7年間でした。


── その後、29歳で家業に戻られています。このタイミングには何か理由があったのでしょうか。

須藤: 父の体調が少し優れなかったことが大きな理由です。持病などもありましてね。

「父がまだ元気で、しっかり教えられるうちに引き継ぎを始めなければならない」と考え、30歳という節目を迎える前に決断しました。


戻ってから12年ほど実務経験を積み、41歳の時に社長に就任しました。

ただ、正直に言いますと、戻ってきた当時は「ギャップ」に苦しみましたよ。大手ゼネコンと地方の工務店では、何もかもが違いましたから。


── 具体的に、どのような部分にギャップを感じられたのですか?

須藤: 一番衝撃を受けたのは、「働き方」と「組織としてのあり方」です。

私が戻った頃の建設業界、特に私たちのような地方の職人の世界は、まだ昭和の慣習が色濃く残っていました。

極端な話をすれば、「雨が降ったら休み」「仕事がなければ給料も出ない」といった、いわゆる「日雇い・一人親方」の延長のような働き方が当たり前だったんです。


もちろん、職人としての腕は素晴らしい。

ですが、サラリーマンとして「組織で働く」形を知っていた私からすると、「このままではいけない」という強い危機感がありました。

従業員にも家族がいます。生活があります。「天気に左右されて給料が変わる」ような不安定な環境では、若い人が入ってこないし、未来を描けない。


だからこそ私は、「職人の集まり」から「企業」へと脱皮しなければならないと強く思いました。 雨の日でも給料が出る、休みが計画的に取れる、安全管理が徹底されている。


昔気質の良い部分は残しながらも、時代に合わせて「当たり前に安心して働ける環境」を作ること。それが、家業に戻った私が最初に掲げたミッションでした。


■「俺の言う通りにやれ」は言わない。直近10年で離職者がほぼゼロになった、トップダウン否定の経営哲学。

── 御社のデータを見て最も驚いたのが、「定着率の高さ」です。直近10年間で、入社後に退職された方はわずか1名だけ。入れ替わりの激しいこの業界では、信じられない数字です。

須藤: そう言っていただけると嬉しいですね。確かに、うちの社員は本当に辞めないんです(笑)。 一番長くいる社員だと、私の祖父の代から働いてくれているベテランもいますし、親子2代で働いてくれている社員もいます。


なぜ居心地が良いのか。その理由を私なりに考えるとすれば、おそらく私が「トップダウン」を嫌っているからだと思います。


── 「トップダウンを嫌う」とは、具体的にどういうことでしょうか?

須藤: 建設業、特に職人の世界では、「親方の言うことは絶対」という風潮がいまだにあります。「俺のやり方でやれ」「黙って従え」と。でも、私はそれをやりたくないんです。


もちろん、工事には守らなければならない品質基準や、絶対に外してはいけない安全のルールがあります。そこは譲れません。ですが、そこから逸脱しない限り、仕事の進め方や手順については、現場の人間を信頼して任せるようにしています。


人にはそれぞれ、得意なリズムや、やりやすい手順というものがありますから。

それを無視して「俺の言う通りにやれ」と頭ごなしに命令しても、やらされる方は面白くないし、ストレスが溜まるだけです。

「結果として良いものができれば、アプローチは君のやりやすいようにやっていいよ」。そうやって個人の裁量を尊重しているからこそ、みんな伸び伸びと力を発揮してくれているんじゃないかと思います。


── 精神的な「任せる」姿勢だけでなく、物理的な環境整備にも力を入れていると伺いました。

須藤: ええ、そこは経営者の責任ですから。 働きやすさというのは、人間関係だけではありません。「使う道具」も重要です。


例えば、現場で使うバックホー(ショベルカー)や、資材を運ぶダンプなどの車両。これらは古くなればなるほど故障のリスクが増え、操作もしづらくなり、結果として事故や怪我に繋がります。 だからこそ、私はこうした機械工具や車両運搬具を、随時新しいものや、社員が使い慣れた形に近いものに入れ替えるようにしています。


「なるべく楽に、安全に作業ができる環境」を会社が用意する。

そして、「仕事のやり方」は本人たちを信じて任せる。 この両輪が回っているからこそ、「ここは働きやすいな」と感じてもらえているのかもしれませんね。


■私たちが守っているのは、線路ではなく「日常」だ。震災復旧で再確認した、インフラを担う者としてのプライド。

── 御社の仕事の約7割は、JR東日本の鉄道関連工事だと伺いました。具体的には、どのような現場で、どのような「やりがい」を感じられる仕事なのでしょうか。

須藤: 私たちが手掛けているのは、皆さんが普段利用している駅のホームや、高架下の柱、線路脇の法面(のりめん)といった、鉄道を支える「土木・建築」の部分です。

この仕事の最大の目的は、何か新しいモニュメントを作ることではありません。

何万人もの人々が通勤や通学で使う「当たり前の日常」を、絶対に止めないことです。


その使命感を最も強く感じたのは、やはり東日本大震災の時の災害復旧ですね。あの現場は、今でも鮮明に覚えています。


── やはり、現場の被害状況は凄まじいものだったのでしょうか。

須藤: ええ。地震の強烈なエネルギーで、鉄の線路がぐにゃりと曲がり、駅の設備もあちこちで損壊していました。 当時はちょうど3月で、年度末の工事をたくさん抱えていた時期でした。しかし、被災地へ救援物資を届けるためにも、一刻も早い鉄道網の復旧が求められていました。


「これは緊急事態だ」と。

私たちは抱えていた他の一般工事をすべて一時ストップさせ、社員総出で応急復旧の現場に向かいました。泥だらけになりながら、曲がった設備を直し、土台を固め直す。

「私たちがやらなければ、誰がやるんだ」。そんな、インフラを担う者としての責任感とプライドを、社員全員で再確認した瞬間でした。電車が再び走った時の、あの言葉にできない安堵感と重みは、一生忘れないでしょう。


── 災害時はもちろんですが、普段の仕事においてもそういった「誇り」を感じる瞬間はありますか?

須藤: もちろんです。ただ、私が一番「この仕事をしていて良かった」と感じる瞬間は、実はとても地味なんですよ(笑)。


私たちの仕事の多くは、終電から始発までの夜間に行われます。 夜通し作業をして、ホームのひび割れを直し、安全を確認して、始発の前に現場を撤収する。そして朝が来ると、何事もなかったかのように、始発電車がダイヤ通りにホームに入ってくる。


利用するお客様は、昨晩そこで私たちが工事をしていたことなんて知りません。

誰も気づかない。でも、それでいいんです。

「何も起きていない」「いつも通り安全に利用されている」。

この「変わらない朝」を迎えることこそが私たちの最大の成果であり、存在意義なんです。


誰からも称賛されるわけではないかもしれません。

でも、自分たちの心の中で「昨日の夜、俺たちがここを直したから、今日もみんな安全に会社に行けるんだぜ」と、密かに誇りを持てる。

そういう「玄人好みの達成感」こそが、この仕事の本当の醍醐味だと思いますね。


■未経験でも「月給30万円」は、あなたの未来への投資。生活の不安を消し、努力に報いるための決断。

── 今回の採用条件を見て、正直驚きました。未経験者に対して「月給30万円スタート」、さらに賃貸の方には「住宅手当3万円」を支給する。千葉エリアの相場を考えても、かなり思い切った決断だったのではないでしょうか。

須藤: そうですね。経営的に見れば、決して簡単な決断ではありません。

しかし、これは会社としての「覚悟」であり、これから入社してくれる未来の仲間への「投資」なんです。


今、建設業界全体が高齢化していますが、うちも例外ではありません。

社員の平均年齢は徐々に高齢化が進んでいます。

次の100年を考えた時、技術を継承してくれる若い世代、次の主役になってくれる方の採用は「待ったなし」の課題です。


── 人材が必要だから給料を上げる、という単純な理由だけではないような気がします。

須藤: ええ。一番の理由は、「不安をなくしてあげたい」という気持ちに近いかもしれません。 未経験の方が、全く知らない建設業界に飛び込む。それだけでも勇気が要ることです。その時、一番のブレーキになるのは「これで家族を養えるのか」「生活していけるのか」というお金の不安だと思うんです。


だからこそ、まずはその不安を取り除くために、生活給として十分な「月給30万円」を最低保証ラインとして設定しました。 さらに、四街道エリアの家賃相場は大体5〜6万円ですから、その半額程度をカバーできる「月3万円の住宅手当」もつけました。これなら、住む場所の心配もなく、腰を据えて仕事に打ち込めるはずです。


── 「まずは安心して生活基盤を固めてほしい」というメッセージですね。

須藤: その通りです。そしてもう一つ、「努力にはしっかり報いたい」という想いがあります。


未経験で入社しても、現場で汗を流し、勉強して資格を取れば、それは会社にとって大きな財産になります。 だからこそ、最初から高い水準を提示しつつ、さらにそこから資格取得や技術の習得に応じて、手当や昇給で還元していく仕組みにしています。


「君たちの成長には期待しているし、その努力に見合う対価は惜しまない」。

この待遇は、そんな私からのメッセージだと受け取ってもらえれば嬉しいですね。 給料が高いということは、それだけモチベーションも上がりますから。結果として、それが良い仕事、安全な仕事に繋がると信じています。


■不器用でもいい、スキルは後からついてくる。私たちが唯一求めているのは、たった一つの「誠実さ」。

── 最後に、これから入社を考えている方へ向けて、どのような方と一緒に働きたいか教えてください。やはり、ある程度の現場経験や器用さは必要でしょうか?

須藤: いいえ、経験もスキルも一切問いません。極端な話、道具の名前すら知らなくていい。ウチに来てから覚えてくれれば、それで十分です。


私が唯一、これだけは持っていてほしいと願うのは、「仕事に対する誠実さ」です。

これに尽きます。


── 「誠実さ」、ですか。

須藤: 私たちの仕事は、一つの手抜き、一つのうっかりが、最悪の場合、列車事故や人命に関わる大事故に直結しかねない責任ある仕事です。

だからこそ、「まあいいか」で済ませるような人は困るんです。「何万人もの命を預かっているんだ」という使命感を持ち、一つひとつの作業に真面目に向き合ってくれる方。そんな方であれば、不器用だって構いません。


仕事の覚えが早い人もいれば、「亀の歩み」のようにじっくり時間をかけて覚える人もいます。 でも、それは私たち会社側が、その人のペースに合わせて仕事を割り振ればいいだけの話です。スピードなんて気にしなくていい。

大事なのは、「安全で快適なインフラを作るんだ」という気持ちの部分ですから。


── 非常に心強い言葉です。それでは最後に、求職者の方へメッセージをお願いします。

須藤: 今、スマートフォンの画面越しにこの求人を見ている方の中には、現状の生活に不安を感じていたり、「自分なんて通用するだろうか」と迷っている方がいるかもしれません。


もし、あなたが前向きに「やってみたい」という気持ちを持って須藤工務店の扉を叩いてくれるなら、私はここで一つの約束をします。 あなたが仕事に熱心に向き合ってくれる限り、成長のスピードに関わらず、私はあなたの努力を絶対に見逃しません。そして、一人前の技術者になるまで、責任を持って面倒を見ます。


創業100年を超え、私たちは今、次の100年を作っていく新しい仲間を必要としています。 家族のように温かく、けれど仕事には誇りを持って。そんな私たちのチームに、あなたが加わってくれる日を楽しみに待っています。

-最後に

「当たり前のことが、当たり前に行われていることが喜び」。

そう語る須藤代表の言葉には、インフラを支える者としての静かなる、

しかし揺るぎない誇りが満ちていました。


インタビューを通じて感じたのは、この会社が持つ「懐の深さ」です。

「月給30万円」という破格の待遇の裏にあるのは、単なる人手不足の解消ではなく、「社員の人生を預かる」という4代目としての責任感と覚悟に他ならない。


「怒鳴られる」「見て覚えろ」といった旧来の建設業のイメージとは対極にある、人間味あふれる須藤工務店というフィールド。 未経験から一生モノの技術と、安定した生活を手に入れたいと願う求職者にとって、ここは間違いなく「最後の転職先」にふさわしい場所であると確信しました。